俺が目指していた航空、宇宙工学系は、医学部ほどではないが難関と言われている。扱っている大学が圧倒的に少ないのだ。
何とか希望する大学に入っても専攻を選ぶ際にまた選抜される。結局院にまでいかないと使い物にならない。
浪人は出来ないしするつもりはなかった。でも周りは俺を、――桃ちゃんセンセの言い方を借りるなら、goodではなく、さしたる努力もせずに良い成績を取れる、specialやwonderfulの存在と見ていた。
そのことを気負っていたつもりはなかった。努力も一種の才能だと思っていたから。安牌だと思っていたセンター試験でも取れるはずの問題を数問落としてしまうまでは。
通常ならそんなに大きな問題はなかったはず。だがその年は問題が難化したこともあり、センターリサーチの結果は、第一志望がC判定、第二志望がB判定だったのだ。
学校の教師も塾の先生も同じことを言っていた。
滑り止めの私立は合格圏内なんだから国立はチャレンジしてみないか、と。
その言葉の裏には、田宮なら問題なく受かるというニュアンスが含まれていた。
それまで俺は自分を動じない人間だと思っていた。冷めていると言い換えてもいい。何事も物事を俯瞰してみる癖がついていて、きちんと学習すれば結果がついてきたからだ。周りからそういう目で見られる度に知らず知らずの内に自分でも特別だと思い上がっていた自分に気付いて恥ずかしくなったのだ。
その俺の悩みを解決したのも桃ちゃんセンセだった。
きっと彼女は知らない。ただ、他の生徒に話していたのを俺が近くで聞いて、勝手に納得しただけだから。

