桃ちゃんセンセと田宮くん



 拓真先生は驚いた表情を浮かべた。俺は驚いたフリをして、どこかで桃ちゃんセンセならこういうだろうな、と予想はしていた。
 そして同時に拓真先生と何故付き合っているのだろうと疑問が湧いた。
 どんな結果でもbestを尽くしているならgood、と肯定してくれる桃ちゃんセンセだ。表面的にしか見ない声を掛ける拓真先生にガッカリしているのが傍目にも伝わってきたのだ。

 正直俺は表面上な賛辞は言われ慣れていた。 
 国立の中高一貫の進学校でトップクラスの成績を常に納めていた俺は、二言目には「田宮なら安心だ、好きにしろ」と言われるのが常だったからだ。
 確かに難なく取れる教科もあったが、努力しなかったわけではない。
 国立の中高一貫校は、教育の実験も兼ねているからか、ある意味放任主義なのだ。自ら学んでいかなければ落ちるのは一瞬。それこそ自由と引き換えに自身を律する精神力が必要であった。
 大学受験に特化した中高一貫校ではない。自由の範囲は広かったが、幼い頃から宇宙の神秘に魅了され、ゆくゆくはスペースシャトルやロケットを開発する仕事に携わりたいと考えていた俺にとっては、陰ながらコツコツと努力を積み重ねていたのだ。