少しだけ素の表情を見せた桃ちゃんセンセがどんな顔をするのか見たくて、俺はそっと本音を呟いた。
「俺、桃ちゃんセンセの話す英語、好きだな。選ぶ単語のチョイスもだけど、日本語話しているよりも表現豊かで。それにいつもより声が低くなってちょっと掠れ気味になるから耳に残る」
その瞬間の桃ちゃんセンセの顔は忘れられない。
彼女は、イヤそうに眉間にシワを寄せたのだ。
それ、イヤミ? とでも言いそうな顔に、俺はくるりと背中を向けて出入口に向かっていた。
しまった、と思った時には既に行動に移した後だった。今更振り向けない俺に桃ちゃんセンセは声をかけてくれる。
「田宮くん、さよなら! また明日ね!」
センセはいつもの声で、いつものように声を掛ける。だから俺は振り向くことが出来た。
「うん、桃ちゃんセンセも。……また明日」

