薬のシートを机に置くと、カチリと錠剤がプラスチックにぶつかる音が響いた。
 その小さな音は、咲にとっては鎖の音のように聞こえるのかもしれない。

 ――それでも、僕は諦められない。
 嫌われても、恨まれても、彼女に生きていてほしい。

 窓の外、暮れかけた空の下に、校庭から生徒たちの笑い声が微かに届いた。
 彼女の手の届かない場所から聞こえてくるその声は、僕にとっても痛いほど遠かった。