光の向こうへ

帰り道、二人は小さな公園に立ち寄った。
 咲はベンチに腰を下ろし、兄と並んで座る。
 「ねえお兄ちゃん、私……これからも大丈夫かな」
 「大丈夫。」
 「……うん」

 夕暮れの光が二人を包む。
 病気はまだ完全に消えていない。運動制限も薬の管理も続く。
 けれど、こうして外の世界に触れられる時間がある。
 それだけで、二人にとっての希望は確かに存在していた。