数時間後、副作用が襲いかかった。
 吐き気、頭痛、全身のだるさ。
 咲はシーツを握りしめ、唇を噛んで耐えていた。

 「大丈夫、大丈夫……ゆっくり息吸おう。」
 兄はタオルで額の汗を拭き、背中をさすった。
 「吐きたいときは吐きなさい。無理しなくていいんだ」
 「やだ……弱いとこ見せたくない……」
 「咲!」

 彼の声は思わず震えた。
 「俺は全部見たいんだ。元気な咲も、泣いてる咲も、弱い咲も。……全部、俺の妹だから」

 咲は顔を覆い、声を殺して泣いた。
 涙がシーツに滲み、薬の匂いと混ざり合う。