「……まだ中学生ですよ」
 自分の声が低く震えているのがわかる。
 「無理な投与をして、副作用で日常を奪うくらいなら……」
 「しかし、新しい治療法は未知数です。彼女に試すにはリスクが大きい」

 同僚の言葉が、冷たい刃のように突き刺さる。
 彼は医者である前に、彼女の兄だ。実験台にするような真似はしたくない。
 けれど――このままでは、時間は限られてしまう。