夜、俺はひとりで落ちた薬のシートを拾い集め、ゴミ箱の前で立ち尽くしていた。
 ――どうすればいい。
 医者として、兄として。
 彼女を守れるのは自分だけなのに、その手はまだ彼女に届いていなかった。