癒やしの小児科医と秘密の契約

あんなに寝ぼけていたのが嘘のように、朝から爽やかな佐々木先生。対して私は、二度寝をしてしまったがために、いつまでも寝ぼけてふらふらしている。

「心和は一度帰ってから出勤する?」

「そうですね。そうします」

着替えも化粧品も何もないし、さすがに昨日の服で出勤とかありえない。一旦帰って身支度を整えてから、出直すことにする。

ああ本当に、夢のような一日だった。
しみじみ感じていると、ワイシャツに着替え髪の毛もセットされた見目麗しい佐々木先生が、朝食まで準備してくれる。

なんだこれ、完璧すぎないだろうか。

「先生って、欠点ないんですか?」

「欠点だらけで毎日生きるのに必死だけど」

「どの口が言ってるんですか」

「俺の欠けてるところは心和が補ってくれるんだよね?」

「補うところがなくて尊敬しかないです」

「心和にいいところ見せようとしてるだけだよ」

昨日も散々甘いと思ったけれど、寝て起きても佐々木先生は甘かった。こんなの、気持ちがムズムズしてしまって抑えきれなくなる。

「先生、好きぃ」

「俺も好き」

チュッと軽く触れるキス。
今日が休みだったら、絶対にずっと佐々木先生にくっついているのに。なぜ今日は出勤日なんだ。

とはいえ、仕事モードになりつつある先生を見て、私も気持ちを切り替えた。けじめをつけること、公私混同しない、それが先生のモットーだ。だから私もそういう面は大事にする。だって先生に見合う彼女になりたいから。

「今日は彩芽ちゃんの退院ですね」

「そうだね、順調でよかった」

佐々木先生の嬉しそうな顔。子どもたちのこと大好きなんだろうなとわかる、慈しみを持った笑顔。そういうところも佐々木先生の魅力なんだよなとひしひしと感じて、胸が熱くなった。やっぱり私も、佐々木先生みたいに慈しみに溢れた看護師になりたい。