夜もずいぶん更けているけれど、少しばかり小腹が空いたのでサービスエリアで買ったお惣菜をテーブルに並べた。先生と食べるご飯は何を食べても美味しい。やっぱり、何を食べるかじゃなくて、誰と食べるかが重要だ。

「あー、明日仕事行きたくない。ずっと先生とくっついていたい」

「そうだな、俺もそう思うよ」

「えっ、先生も? 本当に?」

「心和と過ごすと時間があっという間だから」

「ひーん、嬉しい」

「仕事なのに泊めてしまって申し訳ないな」

「そんなの全然関係ないです。先生だってお仕事なのに、泊まること許してくれてありがとうございます」

「だってそれは、心和と一緒にいたかったから」

くっと肩を引き寄せられてチュッと頬にキスをされる。まるで甘いお砂糖みたいだ。

「あはは、真っ赤で可愛い」

「もー、先生のせいですぅ」

「キスされるのは嫌?」

「へっ? い、嫌なわけないじゃないですか。対症療法が足りないんですよぅ」

「そっか、ごめんごめん。じゃあこれからはもっとするから」

ね、と柔らかく微笑む佐々木先生は今度は唇にキスをする。

なにこれ。
甘い。
甘すぎるよぅ。

「今日は先生と一緒のお布団で寝てもいいですか?」

「もちろん。シングルサイズだからちょっと狭いかもしれないけど」

「くっつくので大丈夫です」

「じゃあ問題ないな」

手をつないで寝室へ。
一緒にベッドに入って電気を消した。

よく考えたらこの数時間でものすごく先生と距離が近くなってて、体のお付き合いまでしちゃうなんて、今朝の私には考えもつかなかった。

お試しの恋人にいつか終わりが来るってビクビクしていたけれど、まさかこんな形で先生から告白されてお試しに終わりが来ようとは思いもしない。

「先生?」

「うん?」

「私、先生の恋人でいいんですよね? お試しはもう終わりですよね?」

「うん、お試しなんて言ってごめん。最初からちゃんとすればよかったね」

「今が幸せだから、それでいいです」

ぴったりくっつくと、先生の手が私の腰に回る。先生の言葉も、先生の体温も、あっかたくて安心する。大好きな気持ちに包まれて、すうっと意識が遠のいた。