癒やしの小児科医と秘密の契約

その後もピュアリンカフェを堪能し、グッズも思う存分購入してホクホク顔の私を、佐々木先生は幼い子でも構うような口ぶりで「よかったねぇ」と頭を撫でてくれた。

完全に私だけが癒されている。
佐々木先生を癒してあげたいのに。

ここのショッピングモールは規模が大きく、ピュアリン以外にもたくさんのお店が並ぶ。せっかくなのでいろいろ見て回ろうかと歩き出したのだけど、先生は当たり前かのように手を繋いでくれる。

先生の手は大きくてあたたかい。ぎゅっと握ってもらえると、すごく安心する。ずっと、この手を離したくないなって思ってしまう。

どうして今日はこんなにもいろいろしてくれるんだろう。先生から誘ってくれたデートだけど、先生の本心が見えなくてヤキモキする。

私たちの関係は、まがいものの恋人だ。いつまでこの関係が続くのかわからない。良い方向なのか悪い方向なのか、きっといつかは終わりが来る。先生はそれを見定めている。せめて、今日が最後だよって言われなければいいな。幸せな思い出は最後まで幸せでありたいよ……。

「――心和?」

「えっ、はいっ」

「夜はどうする? どこか食べに行く?」

「うーん、そうですね。たくさん食べたからまだお腹いっぱいで」

「じゃあ先に夜景を見に行こうか。帰る途中の」

「はいっ」

外に出るとだいぶ薄暗くなっていた。ずいぶんと長い時間、ショッピングモールにいたらしい。佐々木先生と一緒にいると時間があっという間だ。

また高速道路に乗ってしばらく走る。自宅方面に向かうに従って、今日という日が終わりに近づいているのだと実感する。夜景も見たいけれど、見たくない。先生といられる時間がどんどん減っていく。

途中のサービスエリアに入って車を降りた。

「ここ知ってる? 夜景が見えるんだよ」

「そうなんですか?」

「こっち」

また先生は私の手を握ってくれる。今日、何度目だろう。嬉しくて胸がキュンキュン悲鳴を上げる。私、佐々木先生の恋人だって勘違いしちゃいそう。