癒やしの小児科医と秘密の契約

ちょっとだけ並んだカフェでも佐々木先生は嫌な顔一つしなくて、ずっと手を繋いで順番を待った。
こんなの本当に恋人みたい。ふっと見上げたら視線が絡まり、ニコッと微笑まれる。そのたびにドクンと心臓が高鳴る。落ち着こうにも落ち着けない。

「何食べる?」

「やばい、全部食べたいです」

「1メニューにつきステッカー1枚付くのか。全5種だって」

「全部ほしい。わあ、どうしよう」

「さすがに5つも食べられないよ」

「ですよね。しかもランダムだし。もー、誘惑がすごい」

うんうんと唸りながら優柔不断にどれを注文しようか悩んでいると、またくすりと笑われる。

「いや、心和が楽しんでる姿が可愛いと思って」

「へっ?!」

またしても、ぼぼぼっと頬が赤くなる。何だか今日の先生はちょっと変だ。私のこと可愛いって言いすぎじゃないだろうか。こんなの、お世辞だとしても動揺しちゃうよ……。

「ねえ、心和の理想のデート、なんだっけ?」

「え?」

「前に言ってたよね。朝迎えに行って、手をつないで、その後聞いてなかったな」

「……おいしいご飯食べて夜景を見て、一日中一緒に過ごす」

「じゃあそうしよっか」

「いっ、いいいい、いいんですか?」

「いいよ」

躊躇いもなくそう言うものだから、動揺して素直に喜べない。いつにも増して佐々木先生が優しい。ピュアリンカフェだけじゃなくて、夜までずっと先生と過ごせるなんて――。

「夢? ほっぺたつねってください」

「夢じゃないよ」

先生は私のほっぺたをつねる代わりに、やわやわと撫でた。「心和の頬が赤くなるのはダメ」とか言って。でもそんな風に撫でられたら逆に赤くなってしまう。

「うーん、ちょっと脈が速いような」

「先生、ほっぺた触りながら脈取るのやめてください」

「職業病かなあ」

くっと目尻を落とした佐々木先生が尊すぎて、もう私は浄化されすぎて昇天するかと思った。どうしてこんなに素敵なんだろう。大好きが過ぎる。