見てもいいよなんて言われたら、遠慮なくガン見しますけど……と思い、じっと横顔を見つめるも、何だかだんだんこちらがドキドキしてきた。

「ふわぁ〜」

「えっ、どうしたの? 車に酔った?」

「先生、無理。先生がかっこよくて直視できません」

「えー、今まであんなに見てきたくせに」

「あれは、こっそり見るからいいんですよ。見てもいいって言われたら緊張するじゃないですか」

ドキドキと落ち着かない胸を押さえながら外の景色に目をやる。と、ちょうど並走するように敷かれている線路を、新幹線が通っていく。

「わあ、先生、新幹線!」

「ああ、本当だね」

「新幹線見るとわくわくしちゃいません?」

スピードの速い新幹線はあっという間に通り過ぎていく。頻繁に乗ることのない新幹線とその一瞬のスピードが、特別感を演出してくれている気がする。ほくほくした気持ちでいると、先生がクスクス笑っていた。

「心和ってほんと可愛いよね。無邪気っていうか」

「うっ、子どもっぽいってことですか?」

「いや、それが心和の魅力でしょ。見てると幸せな気持ちになるよ」

またぶわっと体が震え、心臓がドクンと高鳴った。
やばい。まだ目的地にも着いていないのに、すでに佐々木先生にドキドキしっぱなしだ。今日一日、私の身が持つだろうか。デートの魔力恐るべし。

そうこうしているうちに高速道路を下り、車は街中へ入っていった。そして大きなショッピングモールの駐車場に入る。

ここまで来ると、正解が見えてきた気がした。

「先生、ここって、もしかして……」

「気づいちゃった?」

「ぴゅ、ピュアリンカフェなのでは?!」

「正解!」

「ピュアリンだー!!」

テンション爆上がりの私は、早く早くと先生の袖を引っ張った。