「川島さん、ちょっといい? 千奈ちゃんの申し送り事項のことなんだけど」
「あ、はい」
佐々木先生に呼ばれてそちらへ行く。ついさっき、夜勤者との交代のために患者さんの申し送り事項を伝えるミーティングがあったばかりだ。佐々木先生も何か気になるところがあったのかなと、モニターを覗き込む。
けれど、モニターに映し出されているのは、私が入力した千奈ちゃんの申し送り事項ではなくて、まっさらなテキストだ。
「?」
「ここなんだけど」
先生はまっさらなテキストにカタカタと文字を打っていく。
【今日一緒に帰ろう?】
「えっ?! あっ!」
驚いて漏れ出た声を、慌てて両手で口を塞ぐ。
モニターは壁の方を向いているので、私のように覗き込まなければ誰にも見えない状態だ。
「どう?」
ニコッと笑った佐々木先生に、コクコクと黙って頷く。
【駐車場で待ってて】
そう打ち込まれた文字を目で追う。私が読んだのを確認した佐々木先生は、テキストファイルを閉じた。
「じゃあそういうことで、お疲れ様」
「……お疲れ様です」
何事もなかったかのように片付けに戻ったけれど、ドキドキと胸が落ち着かない。軽く動揺している。だってまさかそんな風にお誘いを受けるなんて思わなかったからだ。
佐々木先生と帰るのなんて、いつぶりだろうか。
いやそれよりも、定時を過ぎているとはいえ、けじめを気にする先生がこんなコソコソした真似をするなんて。まるで学生のとき、授業中に先生に見つからないようにこっそり回す手紙みたいなスリルを思い出す。
「心和ちゃ……って、どした?」
千里さんが私の顔を見て怪訝な顔をする。
「いえ、ちょっと気合を入れないと顔が崩れそうなので」
「もう崩れてるし、仕事終わるんだから気合いも何もないでしょうに」
「それはそうなんですけど」
そうじゃない。佐々木先生と一緒に帰れることが嬉しくてニヤけるのを必死に我慢している。
ああ、楽しみすぎる。今日も仕事を頑張って本当によかった。今からご褒美タイムだぁぁぁぁ。
「あ、はい」
佐々木先生に呼ばれてそちらへ行く。ついさっき、夜勤者との交代のために患者さんの申し送り事項を伝えるミーティングがあったばかりだ。佐々木先生も何か気になるところがあったのかなと、モニターを覗き込む。
けれど、モニターに映し出されているのは、私が入力した千奈ちゃんの申し送り事項ではなくて、まっさらなテキストだ。
「?」
「ここなんだけど」
先生はまっさらなテキストにカタカタと文字を打っていく。
【今日一緒に帰ろう?】
「えっ?! あっ!」
驚いて漏れ出た声を、慌てて両手で口を塞ぐ。
モニターは壁の方を向いているので、私のように覗き込まなければ誰にも見えない状態だ。
「どう?」
ニコッと笑った佐々木先生に、コクコクと黙って頷く。
【駐車場で待ってて】
そう打ち込まれた文字を目で追う。私が読んだのを確認した佐々木先生は、テキストファイルを閉じた。
「じゃあそういうことで、お疲れ様」
「……お疲れ様です」
何事もなかったかのように片付けに戻ったけれど、ドキドキと胸が落ち着かない。軽く動揺している。だってまさかそんな風にお誘いを受けるなんて思わなかったからだ。
佐々木先生と帰るのなんて、いつぶりだろうか。
いやそれよりも、定時を過ぎているとはいえ、けじめを気にする先生がこんなコソコソした真似をするなんて。まるで学生のとき、授業中に先生に見つからないようにこっそり回す手紙みたいなスリルを思い出す。
「心和ちゃ……って、どした?」
千里さんが私の顔を見て怪訝な顔をする。
「いえ、ちょっと気合を入れないと顔が崩れそうなので」
「もう崩れてるし、仕事終わるんだから気合いも何もないでしょうに」
「それはそうなんですけど」
そうじゃない。佐々木先生と一緒に帰れることが嬉しくてニヤけるのを必死に我慢している。
ああ、楽しみすぎる。今日も仕事を頑張って本当によかった。今からご褒美タイムだぁぁぁぁ。



