「……ナオくんは、佐々木先生が大好きでした。私が嫉妬しちゃうくらい、佐々木先生、佐々木先生って言ってて。……でもそれは先生がナオくんと真剣に向き合っていたからですよね。私、知ってます。ナオくんが眠れないとき、先生がお母さんみたいにナオくんのこと抱きしめてあげてたこと。いつもナオくんの話を聞いてあげてたこと。ニャンコ好きのナオくんのために、グッズを買ってきてあげてたこと。……それは全部、先生の優しさです。その優しさに、ナオくんは救われていたんですよ。だから――」
私は佐々木先生に手を伸ばす。涙に暮れる先生の頭を抱え込んで、ぎゅうっと抱きしめた。
「そんな風に自分を責めないでください。先生ひとりが責任を背負い込むなんて、おかしいですよ。もっと感情を曝け出したっていいです。全部私が受け止めるから、悲しいなら大声で泣いてください。無理に笑わなくていいから」
私だってナオくんが亡くなって悲しい。今だって時々思い出す。そのたびに、もっとできることがあったんじゃないかって、後悔ばかりしてる。
だけどきっと佐々木先生は、私なんかより何倍もナオくんのことを想っていた。治療法もたくさんの可能性を考えていた。ナオくんだけじゃない、すべての患者さんに対して深い愛情を持って接している。だからこそ、心に負う傷も深いのだと思う。
先生の手が私の腰を引き寄せる。
ぎゅうっと密着して、しばらく二人でぐすぐす泣いた。
「……ありがとう、心和」
「先生……」
ふと、ナースコールの音が耳に届いて、はっと我に返る。佐々木先生を抱きしめてしまった自分の状況に動揺して、ぱっと手を離した。
「こ、コールがっ。わ、私、行きますね」
逃げるように病室を飛び出した。今になってドキドキが止まらない。なんて大胆なことをしてしまったのだろう。
だけど、落ち込んだときの私には、千里さんや杏子さんや桜子さんがいた。いっぱい話を聞いてくれて励ましてくれた。でも先生はずっと一人で抱え込んでいた。誰にもその想いを伝えることもなく、一人で……。
だから、抱きしめたかった。
先生が壊れちゃいそうだと思ったから。
私は佐々木先生に手を伸ばす。涙に暮れる先生の頭を抱え込んで、ぎゅうっと抱きしめた。
「そんな風に自分を責めないでください。先生ひとりが責任を背負い込むなんて、おかしいですよ。もっと感情を曝け出したっていいです。全部私が受け止めるから、悲しいなら大声で泣いてください。無理に笑わなくていいから」
私だってナオくんが亡くなって悲しい。今だって時々思い出す。そのたびに、もっとできることがあったんじゃないかって、後悔ばかりしてる。
だけどきっと佐々木先生は、私なんかより何倍もナオくんのことを想っていた。治療法もたくさんの可能性を考えていた。ナオくんだけじゃない、すべての患者さんに対して深い愛情を持って接している。だからこそ、心に負う傷も深いのだと思う。
先生の手が私の腰を引き寄せる。
ぎゅうっと密着して、しばらく二人でぐすぐす泣いた。
「……ありがとう、心和」
「先生……」
ふと、ナースコールの音が耳に届いて、はっと我に返る。佐々木先生を抱きしめてしまった自分の状況に動揺して、ぱっと手を離した。
「こ、コールがっ。わ、私、行きますね」
逃げるように病室を飛び出した。今になってドキドキが止まらない。なんて大胆なことをしてしまったのだろう。
だけど、落ち込んだときの私には、千里さんや杏子さんや桜子さんがいた。いっぱい話を聞いてくれて励ましてくれた。でも先生はずっと一人で抱え込んでいた。誰にもその想いを伝えることもなく、一人で……。
だから、抱きしめたかった。
先生が壊れちゃいそうだと思ったから。



