癒やしの小児科医と秘密の契約

桜子さんと千里さんがニヤニヤとこちらを見る。

「おいー。いつの間にそんな仲になったのよ」

「そんな報告、受けてないわね」

「いやっ、ちがっ、えっと違わないけど違う」

「どっちよ?」

しどろもどろな私に、三人はニヤニヤと楽しそうに笑い、勝手に乾杯を始めた。何をどう言い訳しようかと考えてみるけれど、何も思い浮かばない。

はっと思い出される、佐々木先生の言葉。

『あのね、川島さん。条件を変更したいんだけど。仕事中じゃなくても、病院の敷地内もなしにしよう。誰に見られているかわからないし』

もしかしてあのとき、佐々木先生は清島先生に見られてることを気づいてたりしたの? だからそうやって言ったの?

今ならめちゃくちゃ素直に頷ける。
ほんと、誰に見られてるかわからないですよね!

「さあさあ、白状しなさいよ」

「佐々木先生とどこまでいったのかなー?」

「ほわあ〜、まだ、何もっ。何もありませんっ。ニャンココラボカフェ行っただけでぇ」

「困ってる心和ちゃん、可愛すぎる。そりゃ佐々木先生も惚れるよ」

「うん、惚れる」

「可愛いもんね」

「ひぃやぁ〜やめてぇ〜」

恥ずかしくなって両手で顔を覆う。可愛いとか惚れるとか、同性に言われてもこんなにときめいちゃうんだから、もし佐々木先生に言われたら破壊力半端ないと思う。

『可愛いよ』

そういえば佐々木先生に言われたこともあった。やばい、思い出しただけで胸のときめきが押さえられない。トクトクトクトク鼓動が速くなる。

「あ、なんか妄想し出した」

「絶対佐々木先生のこと考えてるよ」

「心和ちゃん見てるだけで幸せな気持ちになる」

「あの、私……やっぱり佐々木先生のことが好きです!」

真っ赤な顔で宣言したのは、きっと酔っていたから。そういうことにしてほしい。

「いいじゃん」

ニコッと笑ってくれる。杏子さんも桜子さんも千里さんも、本当に優しくて素敵な先輩。いっぱい話を聞いてもらった私は、すっかりと心が晴れたのだった。