癒やしの小児科医と秘密の契約

「よし、とにかく食べよう。んで考えよう」

「賛成です。食べて脳に栄養を」

「心和ちゃん、サラダも食べる?」

「……じゃあ、いただきます」

みなさんの優しさに絆されて、久しぶりにガツガツ食事をした。私の沈んだ心を気にしてか、まったく違う話題で盛り上がったり、杏子さんの惚気話で盛り上がったり、あの手この手で笑わせようとしてくる。

面白くって楽しくって、久しぶりにお腹の底から笑った気がする。そう思うと、私はずいぶんと落ち込んでいたんだなと自覚した。自分ではそんなつもりじゃなかったんだけど。

「何か元気出てきました」

「それでこそ心和ちゃん」

「食べて飲んでしゃべって発散しなさい」

「はい、改めてかんぱーい!」

本日何度目かの乾杯。全員、ほろ酔いでできあがっている。悲しみに暮れていた気持ちがだんだんと変化してきて、モヤモヤに変わってきた。

モヤモヤってなんだろうか。ここ数日、私の心を蝕むモヤモヤ。その正体はナオくんが亡くなったことじゃない。そのことに、今ふと気づいた。

「あの、愚痴ってもいいですか?」

「待ってました!」

「聞こうじゃないの!」

「お姉さんに話してごらーん」

みなさん、めっちゃ酔っ払い。でも今はその方がいいのかもしれない。さらっと聞き流してくれる方が助かる。

「佐々木先生のことなんですけど……」

「佐々木先生の愚痴?」

「惚気じゃなくて?」

「まあまあ、聞きましょうよ」

話す前からめちゃくちゃ茶々を入れられる。ん……やっぱり酔っ払いに話すことじゃないかもしれない。けれど一度口に出してしまったら止まれない。もう、話したくてうずうずしている。話さなきゃやってられない。私も相当な酔っ払いだ。