発熱をしたナオくんは再び入院となった。
「ナオくん、お熱出ちゃったか」
「先生、また治して」
「そうだね。じゃあまずお熱を下げるお薬出すからね」
しんどそうにベッドに横たわるナオくんに、佐々木先生は優しく伝える。点滴に抗生剤を追加するよう指示があった。
ナオくんの病室は、以前に入院したときと同じ部屋だ。まるでそこにナオくんが戻ってくることがわかっていたかのように、意図的に空けてあった。
ナオくんは小児癌だ。治ることも多い小児癌だけれど、ナオくんの場合は違った。一時退院のときも、治ったから退院したんじゃない。病状的にも体力的にも、これが最後の退院になるだろうとわかっていた。少しでも長く自宅で過ごしたい、過ごしてほしい。それがナオくんのご両親と佐々木先生の願いだった。
「ここちゃん、ニャンコ取って」
「はい、どうぞ」
ナオくんお気に入りのニャンコのぬいぐるみは、今回の入院でも欠かせないアイテムのようだ。弱々しい力で胸に抱える。
もともと細かったナオくんの腕が、さらに細くなった気がする。もしかしてあまり食欲もなかったのかもしれない。
「お父さんお母さん、ついててあげてくださいね。面会時間など気にしなくていいです。ご自由にお過ごしください」
ナオくんが限界なことは、大人たちはわかっていた。もちろん、私もだ。だけどどこかで、佐々木先生が治してくれるんじゃないかと期待していた。なによりナオくんが、佐々木先生に絶対の信頼を寄せていたからだ。
けれど翌日、ナオくんは昏睡状態になった。
そして三日後、ご両親に見守られながら、眠るように息を引き取った。
佐々木先生が、瞳孔散大と呼吸音、心音の停止を確認して、臨終を告げる。それがどこか遠くの世界の出来事のような気がして、何も実感がわかなかった。
「ナオくん、お熱出ちゃったか」
「先生、また治して」
「そうだね。じゃあまずお熱を下げるお薬出すからね」
しんどそうにベッドに横たわるナオくんに、佐々木先生は優しく伝える。点滴に抗生剤を追加するよう指示があった。
ナオくんの病室は、以前に入院したときと同じ部屋だ。まるでそこにナオくんが戻ってくることがわかっていたかのように、意図的に空けてあった。
ナオくんは小児癌だ。治ることも多い小児癌だけれど、ナオくんの場合は違った。一時退院のときも、治ったから退院したんじゃない。病状的にも体力的にも、これが最後の退院になるだろうとわかっていた。少しでも長く自宅で過ごしたい、過ごしてほしい。それがナオくんのご両親と佐々木先生の願いだった。
「ここちゃん、ニャンコ取って」
「はい、どうぞ」
ナオくんお気に入りのニャンコのぬいぐるみは、今回の入院でも欠かせないアイテムのようだ。弱々しい力で胸に抱える。
もともと細かったナオくんの腕が、さらに細くなった気がする。もしかしてあまり食欲もなかったのかもしれない。
「お父さんお母さん、ついててあげてくださいね。面会時間など気にしなくていいです。ご自由にお過ごしください」
ナオくんが限界なことは、大人たちはわかっていた。もちろん、私もだ。だけどどこかで、佐々木先生が治してくれるんじゃないかと期待していた。なによりナオくんが、佐々木先生に絶対の信頼を寄せていたからだ。
けれど翌日、ナオくんは昏睡状態になった。
そして三日後、ご両親に見守られながら、眠るように息を引き取った。
佐々木先生が、瞳孔散大と呼吸音、心音の停止を確認して、臨終を告げる。それがどこか遠くの世界の出来事のような気がして、何も実感がわかなかった。



