癒やしの小児科医と秘密の契約

一晩ぐっすり寝て、心機一転ナオくんの病室に赴く。

「ナオくーん。検温するよー」

「あっ、ここちゃんこれ見てー」

昨日とはうってかわって、どうやら今日は機嫌がいいみたいだ。ナオくんが見てと掲げるそれは、新しいマグカップだ。とんでもなく見覚えのあるマグカップは、先日佐々木先生とデートした時に先生が買ったものと同じものだ。

「ニャンコだね」

「いいでしょー。これね、限定なんだって。佐々木先生がくれたんだ」

「そっかー」

「このぬいぐるみも、佐々木先生が前にくれたんだよ。抗がん剤頑張ったご褒美だって」

「ナオくん本当によく頑張ったもんね」

「でしょー」

ふふんとドヤ顔をしながらあれもこれも見せてくれる。どうやら佐々木先生は、ニャンコ好きなナオくんのためにいろいろなグッズをご褒美としてあげているようだ。

そういえば佐々木先生はニャンコ好きと言うわりに、ニャンコグッズを持っていない気がする。一度だけお邪魔した先生のお宅も、記憶の限りニャンコグッズは置いていなかった。

限定品だって簡単にナオくんにあげちゃうし、気前が良すぎる。マグカップだって1個しか買ってなかった気がするし。もしかして先生、本当はニャンコ好きじゃないのかも……? ニャンコ好きっていうのはもしかしてナオくんのためだったり……?

「いいよねーニャンコ。癒されるぅ」

ナオくんが満面の笑みでぬいぐるみをぎゅうっと抱きしめる。無邪気で可愛い笑顔。そんな幸せそうな顔を見るだけで、こっちまで幸せな気持ちになる。

「じゃあ私からはこれをプレゼントしよう。ぬりえだよ」

「えっ、いいの? やったー! 色鉛筆取ってー」

「こら、検温してからだよ」

「ねえねえ、土曜日家に帰れるんだよ」

「そっかー。嬉しいね」

子どもの笑顔が見られるのは嬉しい。特に病院の中だと、ぐったりしている姿や泣いている姿もよく見るからだ。いつも元気に笑って、そして何の問題もなく退院していってほしい。