「そっか。そうだよね。自分で言うのもなんだけど、俺って優しいんだよね。だから結構好意を抱いてくれる人が多いんだけど、優しさだけじゃつまらないらしいよ。よくガッカリされるし、去って行かれる」
「ガッカリなんてしないです。先生の良いところ、優しさだけじゃないって知ってます」
「俺の何を知ってるの?」
「……そ、それは」
そう言われると、どう答えていいかわからない。佐々木先生の良いところエピソードを話そうにも、すべてが優しさに繋がっている気がする。ていうか、優しいって誰にでもできるようでできない、難しいことだと思うんだけど。
「……先生の半分は優しさでできてると思います」
「とある薬の謳い文句みたいだけど」
「そうです。それと一緒です。ただ優しいんじゃなくて、相手を考えた奥の深い優しさがあるので、私は佐々木先生みたいな看護師になりたい」
「看護師としての目標?」
「あっ、いつの間にか話がすり替わってました。そうじゃなくて、えっと、えっと、とにかく私はどんな佐々木先生でも大好きだということが言いたくてですね」
わたわたと焦るたび、身振り手振りが大きくなっていく。もう何を言っているのか自分でもよく分からない。落ち着いて、私のポンコツ単純脳細胞。
「じゃあさ、試しに付き合ってみる?」
「へ? つ、付き合う?」
「うん。どうせ知らない人とお見合いする予定だったんだ。それなら川島さんとお見合いしてもいいかなって思ったんだけど、どうかな?」
もしかしたらこの提案は、佐々木先生なりの私に対する優しさだったのかもしれない。好きだ好きだとうるさいから、渋々付き合ってくれたのかも……?
でもこれは人生最大のチャンスでもある。このチャンスを逃したら、一生振り向いてもらえない気がするし、何と言っても私の今年の抱負は『佐々木先生を振り向かせてみせる』ことなのだ。千載一遇を逃してなるものか。
「先生に好きになってもらえるように頑張るので、よろしくお願いします。毎日先生に大好きって言います。絶対先生のこと振り向かせて見せます!」
鼻息荒く、拳をぐっと握る。そんな私を見て、佐々木先生は可笑しそうにくしゃっと笑った。
「わかった。じゃあ今日からよろしく。だけど仕事中はダメだよ。けじめはつけてね。それが条件だ」
佐々木先生は人差し指で私の唇をきゅっと押さえた。
まるで私たちのこの関係が、秘密かのように。
「ガッカリなんてしないです。先生の良いところ、優しさだけじゃないって知ってます」
「俺の何を知ってるの?」
「……そ、それは」
そう言われると、どう答えていいかわからない。佐々木先生の良いところエピソードを話そうにも、すべてが優しさに繋がっている気がする。ていうか、優しいって誰にでもできるようでできない、難しいことだと思うんだけど。
「……先生の半分は優しさでできてると思います」
「とある薬の謳い文句みたいだけど」
「そうです。それと一緒です。ただ優しいんじゃなくて、相手を考えた奥の深い優しさがあるので、私は佐々木先生みたいな看護師になりたい」
「看護師としての目標?」
「あっ、いつの間にか話がすり替わってました。そうじゃなくて、えっと、えっと、とにかく私はどんな佐々木先生でも大好きだということが言いたくてですね」
わたわたと焦るたび、身振り手振りが大きくなっていく。もう何を言っているのか自分でもよく分からない。落ち着いて、私のポンコツ単純脳細胞。
「じゃあさ、試しに付き合ってみる?」
「へ? つ、付き合う?」
「うん。どうせ知らない人とお見合いする予定だったんだ。それなら川島さんとお見合いしてもいいかなって思ったんだけど、どうかな?」
もしかしたらこの提案は、佐々木先生なりの私に対する優しさだったのかもしれない。好きだ好きだとうるさいから、渋々付き合ってくれたのかも……?
でもこれは人生最大のチャンスでもある。このチャンスを逃したら、一生振り向いてもらえない気がするし、何と言っても私の今年の抱負は『佐々木先生を振り向かせてみせる』ことなのだ。千載一遇を逃してなるものか。
「先生に好きになってもらえるように頑張るので、よろしくお願いします。毎日先生に大好きって言います。絶対先生のこと振り向かせて見せます!」
鼻息荒く、拳をぐっと握る。そんな私を見て、佐々木先生は可笑しそうにくしゃっと笑った。
「わかった。じゃあ今日からよろしく。だけど仕事中はダメだよ。けじめはつけてね。それが条件だ」
佐々木先生は人差し指で私の唇をきゅっと押さえた。
まるで私たちのこの関係が、秘密かのように。



