癒やしの小児科医と秘密の契約

明日も全員仕事だというのに、ずいぶんと遅くなってしまった。車で来ていた俊介さんは、杏子さんからもらったアルコール除菌シートで、丁寧に座席を拭いている。そんなことしなくてもいいのに。

「俊介さん、もういいですって。私、気にしませんよ?」

「俺が気にする。少しでも心和に嫉妬させてしまったことが申し訳ない」

「ふふっ、真面目ですねぇ」

「真面目じゃなくて、心和のことが好きだからそうしてるだけだよ」

そんな風に言われると、嬉しいやら申し訳ないやら、照れくさくなってしまう。

「俊介さん、ありがとう」

素直に言葉にしたら、ニコッと微笑んでくれた。夜なのに後光が差しているように眩しい。なんという爽やかオーラ。

「明日も仕事だけど、うち泊まる?」

「えっ、いいんですか?」

「だって、一緒にいたいし」

「ふわぁ、嬉しいぃ」

除菌シートで念入りに拭き上げられた助手席に座る。莉々花ちゃんには申し訳ないけれど、私のためにしてくれていることを思うと優越感が半端ない。

車が動き出す。俊介さんの運転はいつも緩やかで優しい。心地良くて寝ちゃいそう。でも、運転中の俊介さんの横顔も大好きだからじっと見つめてしまう。

「あはは、見られてるなぁ」

「お構いなく。見たいんです」

「いいよ。心和になら、いくらでも見られたい。心和の視線を浴びたいなぁ」

「えっ、ドM通り越して変態みたいな発言ですけど」

「あはは、変態かあ。初めて言われたよ」

「何で嬉しそうなんですか」

「心和の前では変態にもなれるかもしれない」

「……変態でもいいですけど」

「いいの?」

「いいです。全部ひっくるめて好きなので」

もう、大好き。大好き。大好き。
俊介さんの全部が大好き。
今すぐに抱きつきたいほど大好き!

……もしかして私の方が変態かも?!