癒やしの小児科医と秘密の契約

目の前の視界がぐらりと揺れた。真っ白な天井が目に入る。だけどそれはすぐに遮られた。

「……佐々木先生?」

ライトの逆光で、表情がよくわからない。でも私をベッドに押し倒したのは、紛れもなく佐々木先生だ。

「あの……」

「俺を煽ったのは川島さんでしょ? 自覚ないの?」

ドキンと心臓が引くつく。ありえないくらい、ドキドキして、今にも爆発しそう。だって、佐々木先生のこんな色っぽい姿、見たことない。

佐々木先生はいつもニコニコ優しい笑顔を浮かべていて、人当たりも良くてお釈迦様みたいだなんて言われるくらい。

そんな佐々木先生が――

「もしかして夢……?」

「だったらどうするの?」

「夢でも嬉しいです。だって私、佐々木先生のこと、好きだから――」

先生の指が私の頬をなぞった。感触がやけにリアルだ。リアルなのに、これは夢なのか現実なのか、判別ができない。

「先生にだったら何されてもいいです」

「だから、安易にそういうことを口にしたらダメだって言ったよね?」

先生の人差し指が私の唇に触れた。形を確かめるようにすっとなぞっていく。

自分が望んだことなのに、頭がぼーっとして理解が追いつかない。一体これはどういう状況?

ぼやっとしている間に、ゆっくりと影が落ちる。
反射的に目を閉じた。

ドッキンドッキンバックンバックン、けたたましく動く心臓がまるで自分のものじゃないみたい。佐々木先生の息づかいが聞こえる。佐々木先生のお日様みたいな柔軟剤の香りがふわっと鼻をかすめた。

「んうっ」

柔らかな感触――

ただ気持ちがいい、そう思った。
いつまでもこの時間が続けばいいのに。
どうか夢でありませんように。

そう願わずにはいられなかったけれど、心地良さに私の意識はどんどん薄れていった。