ロッカールームで無事にスマホを見つけ、しっかりとカバンに入れる。扉を出たところで拓海くんにバッタリ出会った。
「あれ? 残業してたの?」
「はい、小谷のやり残しを処理していました」
「そうなんだ、フォローしてあげて偉いね。お疲れ様」
「心和さんは?」
「私は、ロッカールームにスマホ忘れちゃって戻ってきたの」
あははと笑うと、「心和さんらしいですね」と笑われてしまった。そのまま二人で一緒に病院を出る。拓海くんは電車通勤、私は駅前の焼肉モーちゃんへ向かうから、方向は一緒だ。必然的に会話しながらそちらへ向かう。
「あの、聞きたいんですけど」
「なあに?」
「よかったんですか?」
「何が?」
「佐々木先生に小谷のこと送らせて。小谷って普段の態度からも分かる通り、見境ないですよ」
「あー……うーん……。それは難しい問題だなぁ」
「佐々木先生も心和さんも、優しすぎません?」
なぜか拓海くんは憤る。莉々花ちゃんと同期だからこそ、私の知らない莉々花ちゃんをいろいろ知っているんだろう。それに、歓迎会で莉々花ちゃんとバチバチ火花を散らしてしまったことを間近で見ている一人だ。
「佐々木先生って優しいよね。誰にでも分け隔てなく」
「そうですね。俺にも優しいです」
「だからそんな先生がね、一瞬でも躊躇ってくれたことが私は嬉しくてさ」
「躊躇う?」
「うん、部長先生が莉々花ちゃんを送ってやれ〜って言ったとき、先生は躊躇ってくれたんだよ。たぶん私に気を遣ってくれたんだと思う。それがすごく嬉しくて……先生の優しさが私だけに向けられた瞬間だった気がする」
言いながら、ハッと気づいた。俊介さんがいかに私のことを考えてくれていたのか。
ずっと、俊介さんの優しさを一人占めしたいと思っていた。私だけに特別な優しさがほしいと思っていた。でもそれはもう、叶えられていたんだ。
「あれ? 残業してたの?」
「はい、小谷のやり残しを処理していました」
「そうなんだ、フォローしてあげて偉いね。お疲れ様」
「心和さんは?」
「私は、ロッカールームにスマホ忘れちゃって戻ってきたの」
あははと笑うと、「心和さんらしいですね」と笑われてしまった。そのまま二人で一緒に病院を出る。拓海くんは電車通勤、私は駅前の焼肉モーちゃんへ向かうから、方向は一緒だ。必然的に会話しながらそちらへ向かう。
「あの、聞きたいんですけど」
「なあに?」
「よかったんですか?」
「何が?」
「佐々木先生に小谷のこと送らせて。小谷って普段の態度からも分かる通り、見境ないですよ」
「あー……うーん……。それは難しい問題だなぁ」
「佐々木先生も心和さんも、優しすぎません?」
なぜか拓海くんは憤る。莉々花ちゃんと同期だからこそ、私の知らない莉々花ちゃんをいろいろ知っているんだろう。それに、歓迎会で莉々花ちゃんとバチバチ火花を散らしてしまったことを間近で見ている一人だ。
「佐々木先生って優しいよね。誰にでも分け隔てなく」
「そうですね。俺にも優しいです」
「だからそんな先生がね、一瞬でも躊躇ってくれたことが私は嬉しくてさ」
「躊躇う?」
「うん、部長先生が莉々花ちゃんを送ってやれ〜って言ったとき、先生は躊躇ってくれたんだよ。たぶん私に気を遣ってくれたんだと思う。それがすごく嬉しくて……先生の優しさが私だけに向けられた瞬間だった気がする」
言いながら、ハッと気づいた。俊介さんがいかに私のことを考えてくれていたのか。
ずっと、俊介さんの優しさを一人占めしたいと思っていた。私だけに特別な優しさがほしいと思っていた。でもそれはもう、叶えられていたんだ。



