クリスマス忘年会と称した女子会は、やんややんやと盛り上がっていた。メンバーは神木坂総合病院で働く看護師の桜子さんと千里さんと私、川島心和(かわしまここな)。そして病院の向い側のお弁当屋さんで働く杏子さんの四人だ。

杏子さんは、うちの病院の外科医師である清島先生と恋人で、幸せそうなオーラを振りまいている。対してその他三人は寂しくお一人様。私たちは歳はバラバラで、杏子さんが一番年長の二十八歳。私が一番若い二十五歳。

「今日は杏子さんの話聞きますからね」

「そうそう、ずっと聞きたかったんですよ」

「清島先生の頭を胸に抱えたんですよね?」

「ゲホッ!」

私たちの問いかけに、杏子さんはビールを盛大に吹いた。

頭を胸に抱えたとは、以前桜子さんが『彼氏との仲直り方法』を私たちに紹介してくれたことによる。桜子さんの言い分では、ケンカしたときは彼氏の顔に自分の胸を押しつけてあげると落ち着くというものだ。それを杏子さんは清島先生とケンカしたときに実践したのだとか。

「あー、杏子さんってほんと清島先生のこと好きですよねぇ」

「え? うん、好きです」

「うわー、恥ずかしげもなく! 今の聞きました?」

「私だって、私だって、佐々木先生のこと好きですし!」

「なんでそこで対抗するの、心和ちゃん」

対抗したくもなる。何を隠そう、私には好きな人がいるから。同じ小児科で働く佐々木先生にずっと片思いをしている。私も杏子さんみたいに、佐々木先生とラブラブになりたい。

「佐々木先生は、めっちゃ良い人なんですぅ」

「良い人なのはわかるけど」

「佐々木先生の良さを語りだしたら夜が明ける気がします」

「なるほど、じゃあその良さを聞こうじゃないの」

誰が頼んだのか、おかわりのビールが運ばれてきた。何度目かわからない乾杯をする。