黒百合の女帝

 「俺も麓冬に入る」

 「……えっ!?今すぐ!?」

俺が立ち上がると、彼女は目を見開く。

それに深く頷き、扉の方に向かう。

 「ああ、そのカワって奴に話をしたい」

 「カヤね。カヤはもう帰ったから、私から伝えておくよ。」

そう話すユリが、興味深そうに俺を眺める。

 「にしても、珍しいね。自ら動くだなんて。」

 「ユリの為なら」

 「でも麓冬に入ったら、私じゃなくてカヤの為に動く事になるよ?」

 「忠誠を誓うのはユリだけだ」

誇張無しの、至って真面目な発言。

だったのだが、彼女には伝わらず。

くすりと笑い、ただ感謝を述べるだけ。

 「ありがとう。なら、しっかりと麓冬に尽力してね。」

この様子からするに、冗談と思われたようだ。

これは、この先苦労しそうだ。