「次に、ユリ。ユリがサクラを虐めた。これは事実か?」

 「……ユウヒは、私を疑ってるの?」

淡々とした確認作業に、中途半端な回答をする。

ユウヒは瞳孔を散瞳させたのち、「違っ」と呟きかけた。

しかしそれを遮るように、再び問い掛ける。

 「私が、いじめっ子に見えるの?」

 「違う……俺は、総長として訊いてるだけで……!ユリを否定はしていない!」

落胆の滲む私の台詞を、彼は必死で否定する。

しかしそれは『彼女に疑惑を掛けている』ことに対する否定。

彼氏という立場よりも、総長という立場を優先させた。

この事実は、一切否定していない。

だからこそ、彼の言葉は……

 「言い訳にしか、聞こえないよ……。」

悲哀を込めて、そう呟く。

それでも言葉に詰まったように、狼狽するだけの彼。

___もう、潮時か。

 「もういいよ、ユウヒ。私……嶺春から脱退する。」

 「……は?」

 「これ以上はみんなに迷惑掛けちゃうし。それに……私が居たら、みんな居心地悪いでしょ?」

そう私が明言した途端、室内が静まり返る。

そして、各々が個別の反応を見せた。