黒百合の女帝

楽亜side

 「って事。これが私が麓冬に居る理由の全て。」

そこまで語り、彼女はココアを一口飲む。

机に置かれたマグカップは、中身が空だった。

それと対照的に、俺のココアは口すら付けていない。

彼女の話をまとめると、以下の通り。

ストーカー被害解決のため嶺春に頼る。

その後、嶺春の倉庫に通い始める。

間も無く嶺春の総長と交際を開始。

しかし裏切られ嶺春を追放。

自暴自棄な中、白髪の男に拾われる。

そして白髪の男が総長の麓冬に加入。


 なんともロマンティックな話だ。

シンデレラストーリーとやらと通ずる点がある。

もしその王子が、白髪の男ではなく俺だったら。

そう考えた時点で、既に自覚していた。

俺が彼女に向けていたのは、友情じゃない。

あれは、恋情だったのだと。