黒百合の女帝

 そう言い切り、自分の手が痛いことに気付く。

視線を下せば、そこには力の籠り過ぎた手が。

 「あっ!すみません。痛かったですよね」

慌てて手を振り解き、視線をそっぽに向ける。

なんだか、思いっきり格好付けてしまった……

遅れてやってきた、手の痛みと羞恥心。

頭を占めるのは、この先の嫌な展開たち。

キモっと吐き捨てられる覚悟をし、一秒後。

感じたのは辛辣な反応……ではなく。

自分の手を包む、温もりだった。

驚きに顔を上げれば、そこには微笑む彼女が。

夕日が後光の様に、彼女の輪郭を照らしている。

それは、どこぞの女神を想起させるものだった。

 「いえ。それよりも、凄く……心強いです。」

そんな彼女の言葉からは、震えが消えていた。

橙を背にした少女から、目を逸らせなかった。