黒百合の女帝

 そして電車に揺られ、50分後。

彼女の学校の前に辿り着き、歩みを止めた。

 「今朝はここまでですね。何事もなく到着できて良かったです」

 「はい。まずは一安心ですが……下校の際も、宜しくお願いします。」

 「わかりました。それでは俺も自分の学校に向かうので」

手を振り、その場を後にする。

一度振り返ってみると、そこに彼女は居なかった。

おおよそ、校門前の人波に飲まれたのだろう。

再び前を向き、今度は腕時計を確認する。

すでに短針は、8の記号を過ぎていた。

遅刻確定だが……まあ、いつものことか。

これから当分、彼女中心の生活を送るのだろう。