「俺はそれに賛成だぜ。今すぐ、ここで追放しよう。サクラもそうだよな?」

 「……なるべくなら、そうしたいかな」

ほら、ヨウが真っ先に動いた。

そしてサクラに同意を求め、私に勝った気でいる。

これもミヤビの思惑通りだろう。

それはこの先の展開、ヤユの抵抗さえも。

 「ちょっと待ってよ、ここで決めるのは早すぎない?証拠の裏付け?とか……」

 「じゃあサクラの傷はどう説明すんだよ?」

 「それは……と、とりあえず!まだ総長から何も言われてないし!ね?総長」

焦燥感に駆られたヤユが、そう尋ねながら振り向く。

するとその先にいた、俯き気味の青年が顔を上げた。


 優日(ユウヒ)……嶺春の総長。

艶やかな黒髪に、大人びた顔立ち。

自然と視線を集めるカリスマ性と滲む威厳。

まさに隙のない、数多の不良を従える総長様。

それと同時に、私のれっきとした交際相手。

長らく様子見に回っていたようだが、ようやっと指示を出すのか。

息を吐いた彼に、密かに期待を寄せる。

どうかこの状況を打開してくれ、と。