黒百合の女帝

 「そのお店には行きませんでした。そしたらその次の日に、また手紙が届いて……。」

そう言うと、もう一つの封筒を取り出す。

先程と同様に中身を読み、眉を顰めた。

そこには差出人の怒りが感じられた。

ユリは自分を裏切り、自分の想いを無下にした。

自分はこれに対し、強い怒りを抱いている。

一週間後。それまでに謝りに来い。

さもなければ、家に押し寄せてやる。

そんな脅迫文が、三枚の紙に綴られている。

 「警察に言った方がいいですよ」

そう助言しても、彼女は力なく首を振るだけ。

 「ここ数週間、親が居ないんです。大事な仕事なのに、迷惑を掛けたくありません。」

 「そんなこと言ってる場合じゃないですよ、もし家に押し掛けられたら……!」

 「だから、ここに来たんです。大事にはしたくないんです。」

今にも泣き出しそうだけれども、真剣な眼差し。

その覚悟に当てられ、反論は不可能になる。

ただ、彼女のことは尊重したい。

という一心で、仕方なく返事をする。

 「……わかりました。絶対に、あなたを守ってみせます」