黒百合の女帝

 双方席に着くと、早速話し合いが始まった。

 「トシアキから軽く聴いていますが、ユリさんからも今回の要件をお願いします。」

そう促せば、彼女は軽く頷く。

 「はい。嶺春の皆様には、ストーカーからの護衛を頼みたいんです。」

彼女の話を要約すると、以下の通り。

ことの始まりは、およそ三週間前。

帰路に就いたのは午後6時頃。

その時期は既に、周辺は暗かったとか。

そして彼女が異変を感じたのは、住宅街を歩いていた時のこと。

 「突然、背後が光ったんです。」

 「背後が?」

 「はい。でも振り向いた時には何もなくて……。」

 「カメラのフラッシュでしょうか?」

ミヤビの問いに、彼女は縦に首を振る。

 「多分そうだと思います。確信ではないですが……。」

断言はせず、語尾をぼかす。

そんな口調は、どこか弱々しく感じられた。