優日side
「いい加減、彼女のことは忘れて下さい。」
突然、ミヤビがそんなことを言い出した。
嶺春の倉庫、24日の午前一時半前。
コーヒーを淹れている最中、それは起きた。
目が点になる俺に、彼は呆れた表情を見せる。
「ユリさんが去って一ヶ月半、あなたの異変に気付かなかったとでも?」
問題集から顔を上げず、淡々と語るミヤビ。
彼が説いている難問は、某有名大学の過去問だ。
冷静な彼とは対照的に、思わず顔が引き攣る。
「忘れたに決まってるだろ。俺はそこまで未練がましくない。言い掛かりは辞めろ」
「そうですか。ならば総長として、責務を全うして下さいね。」
「ああ、わかった」
そう返すと同時に、電気ケトルのお湯が沸けた。
心を落ち着かせながら、それを持ち上げる。
本当に、恐ろしいほど洞察力が鋭い奴だ。
湯を注ぎながら、彼の言う通りだと反省する。
俺は、未だにユリの無罪を信じている。
後輩の前でその説を唱えられる程の根拠はない。
ただ、記憶上の彼女が無罪そのものなのだ。
あの日、彼女が倉庫に訪れた時から。
彼女は最も純粋な存在であると、俺は知っていたんだ。
「いい加減、彼女のことは忘れて下さい。」
突然、ミヤビがそんなことを言い出した。
嶺春の倉庫、24日の午前一時半前。
コーヒーを淹れている最中、それは起きた。
目が点になる俺に、彼は呆れた表情を見せる。
「ユリさんが去って一ヶ月半、あなたの異変に気付かなかったとでも?」
問題集から顔を上げず、淡々と語るミヤビ。
彼が説いている難問は、某有名大学の過去問だ。
冷静な彼とは対照的に、思わず顔が引き攣る。
「忘れたに決まってるだろ。俺はそこまで未練がましくない。言い掛かりは辞めろ」
「そうですか。ならば総長として、責務を全うして下さいね。」
「ああ、わかった」
そう返すと同時に、電気ケトルのお湯が沸けた。
心を落ち着かせながら、それを持ち上げる。
本当に、恐ろしいほど洞察力が鋭い奴だ。
湯を注ぎながら、彼の言う通りだと反省する。
俺は、未だにユリの無罪を信じている。
後輩の前でその説を唱えられる程の根拠はない。
ただ、記憶上の彼女が無罪そのものなのだ。
あの日、彼女が倉庫に訪れた時から。
彼女は最も純粋な存在であると、俺は知っていたんだ。


