黒百合の女帝

楽亜side

 水族館へ行った日の翌日。午前一時過ぎ。

いつものように、繁華街を彷徨う。

そんな中、俺を男女二人組が追い越していった。

すれ違いざま、視界の端で女の耳元が光る。

そこには、桃色をした海月(クラゲ)の耳飾りが。

既視感のあるそれに、思わず足を止める。

……いや、別人に決まっているか。

同じ土産屋で買ったか、もしくは類似品だろう。

そう思い、無視するように歩き始める。

それでも……やはり、確かめずにはいられない。

再び歩みを止め、女の後ろ姿を凝視する。

街中のネオンで、明るく照らされる少女。

その後ろ姿は、昼間に見たばかりだった。


 あれは……黒崎百合だ。

見慣れた背格好を、見間違う筈がない。

なぜここに?いや、それより……

隣にいる、白髪の男は誰だ?

長髪を低い位置で結んだ、背の高い男。

そいつが、ユリの肩を抱いて歩いていた。