黒百合の女帝

 まさかの発言に、思わず声が漏れる。

黒崎の横顔には、悲哀が漂っていた。

俺が黒崎との接触を拒否?

なぜその様な発想に……いや、当然か。

無表情で無反応、相槌すらなく完全に無視。

そんな俺が不機嫌だと思わない方が不自然だ。

なぜ黒崎がこんな俺と居てくれるのかさえも謎。

ただ……俺は彼女を悲しませてきた。

今挙げた行動は、彼女に対して失礼が過ぎる。

今更謝罪など遅いかも知れないが、言わなければ。


 「黒崎を嫌ってなんてない。今まで……ごめん」

素直な気持ちを伝え、顔を俯かせる。

すると突然、手元に重みが増した。

視線を移せば、野菜スティックのカップに唐揚げが。

続けて黒崎の弁当に視線を移すと、唐揚げが一つ消失。

彼女の顔を見上げれば、そこには穏やかな微笑。

 「この一ヶ月の中で、一番の長文なんじゃない?」

俺の謝罪とは関連性のない話題に、反応が遅れる。

怪訝そうにすれば、彼女は声を上げて笑った。