黒百合の女帝

 丁度一時間後の12時20分。

耳を澄ませていれば、待ちわびていた開閉音が。

振り返ると、そこには黒崎が居た。

その姿と背景の組み合わせが、とても懐かしく感じた。

 「なんか、久しぶりに感じるや。棚橋君、お待たせ。」

彼女の挨拶に小さく頷き、隣を軽く叩く。

すると彼女は躊躇う事なく、俺の隣に座った。


 「さっきは驚いたよ。教室に来るなんて思っても見なかったから。」

弁当箱を開けながら、明るい口調で話す。

そんな彼女の変わらぬ態度に、安心感を覚えた。

自分も野菜スティックの蓋を開け、大根を摘む。

そして、ここ数日の疑問を投げ掛けてみる。

 「四日間、なにしてた」

特に何も、と返されるのが恐ろしかった。

事情もなく、俺を避けていたと捉えられるから。

固唾を吞んでいれば、彼女は申し訳なさそうな声を出した。