黒百合の女帝

 「先約があるんだけど……ちょっと待ってね。」

そう言い、彼女は自分の席に踵を返す。

そして集団に何かを告げ、また戻ってきた。

 「了承は得たよ。今日なら行ける。」

 「……明日は?」

本来の目的と関係のない事を問う。

すると黒崎は困った様な苦笑を零した。

 「ごめんね。今日断る代わりに、明日は友達と一緒で。」

その返答に、なんだか寂しさが湧く。

これは……独占欲というやつだろうか?

黒崎が俺よりも他の物を優先する事が不快。

これを世間では独占欲と言う筈。

しかし、なぜ俺はそれを抱いた?

黒崎の視線を得たいという事だろうか。

つまり、俺は黒崎に好かれたいのだろうか。

 「じゃあ私は授業あるから。他には何かある?」

彼女は俺の無言を、普段通りだと判断した様だ。

実の所は、普段と違い考え事をしていたのだが。

しかしそれを指摘する必要もない。

という訳でかぶりを振り、教室を後にする。

今回解ったのは、友情とは案外難しい事。

そして、俺が想像以上に黒崎を求めている、という事だ。