黒百合の女帝

 「ところでだが、孔冥とノームの関係は切れた」

 「へえ。ミヤビに脅されでもした?」

 「ああ。情報を流したのはお前らか?」

その問いにはすぐに答えず、コーヒーを飲む。

一息吐いた後、口角を僅かに上げて見せた。

 「孔冥と同盟を結ぶ前の話だから、違反にはならない筈だけど。」

私の屁理屈に、彼の表情は一層渋くなる。

麓孔同盟には、以下の禁止事項が含まれている。

互いに情報の流出は固く禁ずる、と。

しかし、時期的に違反にはならない筈。

と思ったのだが、彼の理解は得られなかった。

 「なぜだ。理由を聞きたい」

 「カナルを探す為だよ。ミヤビと繋がってる事を知って、交渉したの。」

表情を一切変えず、そう説明する。

それを受け、熟考するように無言を貫くカケル。

彼が溜息を吐いたのは、およそ十秒後だった。