黒百合の女帝

 悶絶する金髪を見届けつつ、ヤナギに感心する。

その間にも、ヤナギは最後の一人に殴り掛かっていた。

主にヤナギは顔を狙って打っている。

が、相手はそれを防ぐので攻撃は当たらない。

しかし相手は反撃する余裕もなさそうだ。

だからこそ、首から下がガラ空きになる。

私の読み通り、ヤナギは突然一歩後ろに引いた。

それと共に、右足を斜め下から振り上げる。

彼の蹴りは見事相手の右脇腹を捉えた。

しかし、相手に変わった様子は特になく……。

と思った一秒後、相手は腹を抱えて崩れ落ちた。

肝臓か、とその場から離れながら察する。

肋骨の間から、正確に狙ったのか。偶然なのか。

いずれにせよ、ヤナギはやはり想像以上に強い。

それに加え、彼は柳組と呼ばれていたな。

色々と考えながら、喫煙所付近に戻る。

すると少し遅れて、ヤナギが戻ってきた。

その時、不機嫌そうな表情を作っておいた。

 「ごめんユリ。まだ僕たばこ吸ってない」

 「これ以上待たせる気?連絡も入れずに。」

私の言葉に、ヤナギは大げさに謝り続ける。

どうやら、盗み見は気付かれていないようだ。

駅に向かいながら、そういえばと鞄を漁る。

そしてプリクラのシールを取り出し、ヤナギに渡した。

 「これ。くれぐれも流出しないよう、厳重に管理してね。」

 「ユリって芸能人だっけ?」