黒百合の女帝

 「お前柳組の者じゃろ。この前はうちの奴がよう世話になったようで」

 「誰お前?俺たばこ吸いたいんだよね」

 「ああ?舐めんのもいい加減にせえよお悪ガキ」

へえ、ヤナギの一人称って俺なんだ。

胸倉を掴まれたヤナギに、そんな感想を抱く。

そんな彼と相対するは、大柄の筋肉質な男。

その側にも指が欠けた男が二人ほど居た。

そんな彼らの隣に倒れるごみ箱。

あれが先程の金属音の原因と見られる。

そこまで考え、ごみ箱から視線を上げた。

正直、彼らの小競り合いに参加する気は無い。

ただ、ヤナギの喧嘩を見たいだけだった。

隣の酒屋からの窓ならよく見えそうだなあ。

などと考えつつ、隠れてそれを観戦する。