黒百合の女帝

 「ところでユリ。どこで僕の下の名前を知ったの?」

その問いに、不敵な笑みを浮かべてやる。

そうか、本名の認知は彼に都合が悪いのか。

そう考えると、私も彼の弱みを得たと言えた。

 「さあ、どこで知ったんだったか。」

 「まさかカヤじゃないだろうね」

 「それだけは違う、とだけ。」

私の返事に、ヤナギが意味深長に微笑んだ。

その余裕は、焦りを隠す為の偽造だ。

そんな確信を抱きながら、街を見回す。

ふと視界に入ったのは、話題のクレープ屋。

並んではいるが、空いている方だろう。

 「ヤナギ。クレープ食べるけど、金ある?」

 「奢るの確定?まあいいけど〜」

 「じゃ、放課後デートにあと四時間は付き合ってね。」