黒百合の女帝

 問題は、私の学校を知られた事だ。

絶対に学校だけは知られたくなかったのに。

項垂れながら、ヤナギに掌を突き付ける。

 「なに?飴ちゃんでも欲しいの?」

 「違う。ヤナギのコート貸して。」

絶対に学校関係者に勘違いされたくない。

だからこそ、制服は隠したい。

そんな頼みに、ヤナギは即座に上着を脱いだ。

そして、黒いロングコートを差し出してくる。

 「僕のお洒落コーデが崩れる代わりにどーぞ」

 「ありがたく頂くね。」

コートを受け取り、シックなそれを羽織る。

まだ温もりが残っており、生地も上質だった。

ボタンを閉めつつ、彼の服装を確認する。

深い赤のブラウスに、新緑色のスラックス。

補色である筈の配色が、なぜか洒落ていた。

彼の格好を眺めていると、ヤナギが首を傾げる。