黒百合の女帝

 少し歩き、角を右に曲がったその瞬間。

貼り付けた笑みを崩し、眉間に力を入れた。

 「何の用?わざわざ私の交友関係を邪魔してまで。」

 「あっ、やっぱりその声の方が聞き慣れてていいね」

私の質問に答えず、声に感想を寄せるヤナギ。

黙って睨み付けると、彼は笑い声を上げた。

 「ごめんって。用は特にないんだよね〜これが」

 「は?なんで用もなく手駒に会おうと思ったの?」

歩道の途中で立ち止まり、彼に問い掛ける。

純粋な疑問に、彼は目を細めて見せた。

 「ユリは手駒なんかじゃないよ」

 「手駒でしょ。そこまで演じる必要はないよ。」

彼の隣に並びながら、外面を剥がそうとする。

しかし彼は油断を見せず、道化を演じ続けた。