黒百合の女帝

 「下っ端が来る。逃げるなら早いうちに。」

そう告げると、彼は再び手元に視線を戻した。

その忠告を受け止め、カヤの方に向き直る。

 「じゃあカヤ、移動するよ。」

 「はい。そういえば、これが一度のみの無償の協力ですか?」

カヤがミヤビの方を見ながら、そう問う。

するとミヤビは顔上げず、首を横に振った。

 「これは個人的な支援。僕が反嶺派を捕まえたかったから来ただけ。」

 「そんなにも私たちとの利害関係を続けたい訳?」

 「まあ、恩を売っておいて損はないからね。」

実際は私たちの弱点を探る為だろうに。

彼は相手が誰であれ、まずは弱点を探す。

自分が有利でないと気が済まない奴なのだ。

 「というか、そろそろあいつらが着きそうだけど。」

 「そう。じゃあカヤ、帰るよ。」