黒百合の女帝

百合side

 「はい、ラクア。一日遅れのバレンタイン!」

遊園地から二日が経ち、2月15日の月曜日。

屋上階段にて、ラクアにチョコを渡す。

それは昨日私がわざわざ作った物だった。

ラクアは目を見開き、口を半開きにしている。

 「俺に?」

 「他に誰が居るの?ラクア、チョコ好きでしょ?」

渡しながら、側のチョコの空き箱を指す。

するとラクアはブランケットに顔を埋めた。

私の毛布なのだが、と思いつつ笑い掛けてみる。

 「どうしたの?もしかして嬉しくなっちゃった?」

 「……なるに決まってるだろう」

くぐもったその返事に、少々予想外に思う。

ここまで正直になられるとは。

笑い声をあげながら、その実驚いていた。

そこで気を取り直すべく、笑いを収める。

 「チョコは三つあって、一つ目が苺味。二つ目が抹茶で、三つ目がダークチョコだよ。」

私の説明に、ラクアが顔を上げた。

先程と比べて、顔の赤みは引いていた。

それに加えて、なぜか精悍な顔付きをしている。

何かと思えば、ラクアが鞄を引き寄せた。