黒百合の女帝

 「僕も、サクラちゃんが嘘をついてるとは思わない」

 「でもそうなると、誰も嘘をついてないことになっちまう」

ヨウは椅子に背を預け、頭を掻きむしった。

しかし、僕が思うにヨウの視野はまだ狭い。

 「僕はね、二人とも嘘をついてなくて、何かの誤解なんじゃないかと思ってる」

僕の言葉に、ヨウは驚いたように動きを止めた。

そして、見開いた目で僕を凝視してくる。

 「でも、サクラの体には傷があった」

 「違う人がつけたのかも。それをユリちゃんと思い込んでるとか」

 「そんな……でもそれなら、嘘をついているわけではねえよな」

ヨウは前髪を搔き上げ、ゆっくりと息を吐いた。

息を吐き終わると、鼻先で何かを笑う。

 「サクラに確認したいけど、今は無理だな」

 「え?なんで?」

心当たりが一切なく、何も考えないで尋ねる。

すると彼は項垂れたように頬杖を傾けた。