黒百合の女帝

 「私は、ヤユが味方に付いてくれて嬉しかった。」

その言葉にヤユは顔を上げ、こちらを凝視する。

彼の顔は涙で濡れ、目は赤く腫れていた。

 「知らない罪を着せられて、彼氏にも仲間にも助けて貰えなくて……。でも、ヤユだけは最後まで私を信じてくれた。」

私の話を聴いたヤユが、勢い良く首を横に振る。

 「僕、なにも言えなかった。ユリちゃんは違うって、言えなかったんだよ……?」

 「しょうがないよ。実際、証拠はなかった。全員サクラを信じるに決まってた。それでもヤユは疑ってくれた。」

それを聞いたヤユは顔を歪め、私の肩に顔を埋めた。

その頭を軽く撫でると、ヤユが私を抱き締める。

少し痛かったが、何も言わずに撫で続けた。

 「ヤユは私を選んでくれた。みんなを裏切ってでも。」

 「でも、それでよかったのかな……」

 「わからない。でも少なくとも、私は救われた。」

そこで一息吐き、ヤユを抱き締め返す。

 「ありがとう、ヤユ。」

丁度その時、観覧車は一番の高所に辿り着いた。

ヤユの肩越しに見る夜景は、都市の灯りで成されていた。