黒百合の女帝

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 「今日は初めてのことばっかりだったなあ」

観覧車の中、外を眺めながらヤユが呟く。

乗ってすぐな為、まだ地上に近い位置だ。

私も外を一瞥し、ヤユの方に顔を向ける。

 「今日は楽しかった?」

 「うんっ!お化け屋敷は怖かったけど……」
 
 「あれは面白かったなあ。ヤユ半泣きだったよね。」

 「ちょっとやめてよ。本気で怖かったんだからね」

そうは言いつつも、笑みを浮かべるヤユ。

しかしすぐに、思い直したように目線を下げる。

その様子を、そろそろ指摘することにした。

 「ヤユ。さっきから、なんで悲しそうなの?」

分かり切った問いに、ヤユは動かない。

そして黙り込んだかと思えば、嗚咽を漏らした。

 「僕、友達を殴った」

涙ぐんだ声音で、そう溢すヤユ。

それに対し、私は暫し黙り込んだ。

すると再び、ヤユが口を開く。

彼の足元には水滴が落ちていた。

 「僕、最低だ。本当に最低だよ。みんな、僕のこと恨んでる」

ヤユが泣き止む様子はなかった。

その場から立ち上がり、ヤユの隣に座る。

彼の肩を抱くと、彼は号哭した。

 「僕、これからもみんなに怪我させるの?ヨウも、総長も?」

 「ごめんね、ヤユ。全部私の所為だから。」

肩を掴んでいない方の手で、彼の手を握る。

するとヤユは弱々しく握り返してきた。

 「ユリちゃんのせいなんかじゃない。僕が自分で決めたんだ。全部僕のせいだから」

 「ヤユ……。」

言葉が出て来なかった。

彼の手を握り直し、息を深く吐く。

そして、次の言葉を切り出した。