黒百合の女帝

 彼女に軽く微笑んだ後、鞄を取り教室を出る。

無論、棚橋の指導を任されたなど嘘。

だが、信憑性は十分過ぎるでっちあげだ。

私が生徒指導を任される生徒会長である事。

棚橋楽亜(ラクア)の出席日数が明らかに不足している事。

それらを踏まえれば、百人中百人が今の話を信じるだろう。


 数分後。目前のドアノブを凝視する。

罠は見た所なし。扉には立ち入り禁止の紙。

なるべくならば、足を踏み入れたくないのだが……

扉を三回叩き、要望を軽く伝えてみる。

 「去年同じクラスだった黒崎(くろさき)です。話したい事があるから、入っても良い?」

内側からの返事はない。まさか無人?

試しにドアノブを回してみれば、小気味良い音が。

解錠済み。棚橋は合鍵でも持っているのだろうか。