黒百合の女帝

 「それで、お前は何者なんだ?まさか女帝か?」

顔を上げると、カナルが私を凝視していた。

やはり、彼は私のことを知らないのか。

 「ミヤビからは聞いてないの?」

 「ノームのことか。関わりがあるんだな」

 「まあ、元嶺姫だしね。」

紙に目を落とし、なんて事のないように言う。

すると彼は目を見開き、表情を硬くした。

 「嶺姫はあまり調べなかったからな。なんと呼べば良い?」

 「女帝でも、嶺姫でも、総長でも、ユリでも。」

 「ならば、ユリと呼ぼう。ところでだが、カヤが総長じゃなかったのか?」

カナルの視線が、私からカヤに移る。

カヤは苦笑を浮かべ、私を横目で見た。

 「俺はただの幹部で、実際はユリさんが総長なんです」

 「カヤ、敬語に戻ってるけど。」

 「あ、総長のふりしなくて良いって思ったら、つい」

そう言うと、カヤは羊羹を食べ始めた。

照れ隠しだろうか。まあ良い。